手術室へ呼ばれる。
行きたくない。
この子と離れたくない。
でも行かないといけない。
処置台に座り、点滴やら、固定やらが進んでいく。
女医の先生がやってきた。
麻酔が入る。
『先生、この子をよろしくお願いいたします。』
言うか言わないかの瞬間に、意識がなくなった。
気がついたら、真っ暗な待機ベットの上に寝ていた。
手術は夢だったんじゃないかと思った。
でも、お腹の痛みに現実を思い知らせる。
あぁ、もうお腹にいないんだ、、
涙がハラハラと溢れてくる。
喪失感は想像を絶するほどだった。
しばらくしたら看護師さんが点滴を外しにきた。
診察をして夫に連絡して、車で迎えに来てもらった。
フラフラだった。
肉体的にも、精神的にも。
沈んでいる私を少しでも元気づけようと、夫が外食を提案してくれた。
ごはん作る気力はない。
どこに行きたいかと言われ、食べる気もあまり起きなかったので、スシローなら1皿だけでもいいかと思いスシローにした。
テーブル席について、夫と向かい合う。
頼んだお寿司がきて、一口食べたら、
涙が溢れて止まらない。
周りには小さい子どもを連れたたくさんの家族づれ。
あの子が生まれてたら、私たちもあんな感じだったのかなと思うと、いたたまれなくなった。
涙が止まらないまま、お寿司を食べていた。
夫は心配そうに見ていた。
帰宅して、それからの毎日は鉛のようだった。
生きていても、生きていない感じ。
まだ体温も高く、軽いつわりもあり、腹痛も続いた。
仕事を在宅勤務にしてもらい、なんとか過ごした。
気がつくと、あの子を思って涙が止まらない。
朝がきて、起きて
廊下に出たら夫がいて。
夫の顔を見たら、うわーんと声をあげて泣いていた。
もう、精神的にも肉体的にも崩壊の毎日。
誰にも会いたくない。
自分を保てない。
自分が壊れていた。
そんな私を夫は優しく抱きしめてくれた。